氷見まで行ってきました②

さて、後半戦です。


肉休憩を終えた我々は新湊大橋を渡ります。
自転車と歩行者は車道下の専用通路に
エレベーターを使って乗り入れます。珍しい構造ですよね。
秀起:
「へぇ〜、こんな風になってるんだ〜。」秀起も興味津々。
橋をバックに写真、すぐ横の海王丸パークでは帆船海王丸とも写真。
後で振り返る思い出材料が撮り溜まっていきます。


その後も順調に進み、新庄川橋、高岡の伏木港を過ぎた辺りから、
景色が変わってきました。
海岸線に向かって山肌がどんどん迫ってきます。
宮崎海岸に向かった時と同じことが、今反対端でも見られています。
そんなことを後方からついてくる秀起に向かって話しかけるのですが、
こちらも様子が変わってきました。
声を出さずに頷くのみです。
ペダルを漕ぐテンポは変わらないものの、
姿勢が崩れ始め、顎が少し上がってきました。
疲労が色濃くなっています。
一方で道路標識には「氷見」の文字が見られ始め、残すところ15km程度。
ゴールが意識出来るものの、心身共に辛いところです。
海岸線は特に浜風が強く、細かい起伏がまだまだ続きます。


そんな我々の後方から速度を合わせて伴走し始める怪しい車が出現。
窓を開けて見えたのは愛生と妻。
妻:
「秀起、お父さん、頑張ってるね〜。
もうここまで来れたなんて凄いねぇ〜。」
家族の応援に、思わず秀起に笑顔が戻ります。
後続車がいるので一旦先に行くものの、
自転車組を待ち伏せしては追い付いて短い時間伴走。
こんなのを繰り返すこと2〜3回。
我々を追い越す際には、
ウィ〜ンとパワーウィンドウが開く音が後方から聞こえ、
パシャ、パシャ、パシャと撮影していきます。
家族とはいえ、やってることはほぼパパラッチ(笑)。
思い出作りを手伝ってくれているんだから、もちろん嬉しい。
だから「何かが忍び寄って来る感覚って不気味」なんて本音は、
この際仕舞っておくことにしましょう(笑)。


役目を終えると、
愛生・妻:
「それじゃ、ゴールで待ってるね。」
出迎え準備に先へ行きました。
このやり取りの間、変わらず発語は少ないものの、
笑顔が戻っていたので力を貰えたことと思います。
さぁ、ラストスパートだよ。


道はくねくねし始めており、
「そろそろこの先を曲がればゴールなんじゃないの!?・・・違ったぁ!!」
みたいな精神的揺さぶりが続きます。
あと、途中の看板も期待を持たせがちなんですよね。
「氷見まで○km」とあっても、
「氷見のどこやねん!広いんやでぇ〜」と突っ込み入れたくなるし、
「cycle stationまで3km」と書いてあってゴールの事かと思えば、
ただの休憩スペース(カフェ)だったり。
表示に秀起が翻弄されないように、伝えられる事と言えば、
「もうゴールまでは5kmは無いと思うよ。」とか
「残り5kmなら毎日通っている学校までの往復と変わんないね。近い近い!」
といった類ぐらいなもんです。
こうなったら、秀起自身が
自分で自分を立て直して乗り越えるしかないですな。
そうこうしているうちに、ゴールは突然やってきました。


コース案内の青いラインが終わり、端には、「終点」の二文字。
私:
「秀起ゴールだよ、ゴール!よく頑張ったね、本当に凄いよ。
 こんな小学生他にいないって!」
秀起:
「ありがとう。」
多くの言葉は出て来ないけど、
ゴール出来た安堵感が表情に表れています。
本当によく頑張ったね、秀起。
私の方が舞い上がっちゃって、人目も気にせず、
ゴールでの様子を写真に収めていると、
ロードバイクに乗った初対面のお兄さんが声をかけてくれました。


お兄さん:
「えっ!入善町から来たの?
 この自転車で?(明らかに普通の子供自転車を指差して)
 70kmはあるよね。大したもんやなぁ〜。」
「どうも」って感じで会釈する秀起。
嬉しそうなんだけど、
それより「早く休みてぇ〜、座りてぇ〜。」と顔に書いてあります(笑)。


いっぱい褒めてもらった後で、
入れ違いでゴールのコンビニから現われたのが妻と愛生。
妻:
「えぇ〜、もう着いちゃったの?
愛生にトイレ行かせてたら間に合わなかった〜。」


そうなんですよ。
妻の性格なら「ゴール手前に立って大きく手を振りながら最後声援を送る」
位の事をする人なのに、実際は誰も立っていない(笑)。
ゴールの瞬間の違和感はここにも原因があったのでした。
若干拍子抜けしましたが、
想像を超える速いペースだったってことかな。
ごめん、ごめん。速すぎる我々が悪いのさ(笑)。


初めてきた雨晴海岸ですが、
秀起は力を使い果たし、車で放心状態。
最後まで、強い気持ちでやり遂げてくれて、
お父さん心から感動したよ、ありがとう。
帰りは後部座席を倒して秀起の自転車を積み、車で戻りました。
滑川辺りまで熟睡だったそうです。(私は帰路も自転車)


こうして1年かけて取り組んだ秀起の挑戦は無事終わりました。
すぐ隣で秀起の頑張りを見てこれたおかげで、
逆に私が秀起の事を今まで以上に強く信じてあげられるようになりました。
何度指摘しても直らない事ってありますが、
こんなに頑張れた秀起だもん。
今に自分から気付いて立派に成長してくれることと思います。


走行時間:4時間32分49秒(休憩を含めた所要時間は6時間くらいです)
走行距離:71.8km
平均速度:15.8km/s
平均ペース:3:47min/km


秀起、お疲れさま。本当に良く頑張ったよ。
秀起はお父さんの誇りです。